2005年4月に入学したGB専攻学年を「ガンダーラ24」と呼ぶ。
入学の翌月、新入生合宿研修の雑談の中で、誰かがこの呼称を名付けた。言い出したのは誰だろう。タケシかな?美術系と音楽系が共存するこの専攻、学年担当は、美術のH.N先生と私。私たち学年担当二人を加えて24人なので、「24」になった。なぜ「ガンダーラ」なのかはよくわからない。
1泊2日の合宿研修は私がお供した。1日目の夜、消灯時間ギリギリまで討論をして、翌朝の発表に向けて準備をしていたが、どうにも間に合わない。明日は朝5時に集合しようということになった。5時なんていう早い時間に一体何人が集まっているのだろうと思って覗きに行ってみると、何とほとんどみんな起きて来ているではないか。この頃から、美術系、音楽系の枠を超えて、みんな仲良くなった。
これが、2005年5月の写真。眠そうである。
H.N先生と私とで受け持った1年生の授業では、みんなで美術館に行ったり、音楽会を聴きに行ったりした。それからは、いつも全員一緒というわけにはいかないが、キャンプに行ったり、合同で発表会をしたり、飲み会に集まったり。
2009年春、美術系は卒展、音楽系は卒演で、それぞれ研究成果を披露して、体調を崩し中途退学した1人、海外の姉妹校に留学中の2人を除いて、卒業することになった。特定の数人がよく一緒にいることはあっても、目立った「派閥もしくはグループ」はなく、それぞれ自由にやりたいことをやりながら、ゆるやかに繋がっていた。隣県の温泉を訪れるというささやかな卒業旅行には、就職の研修などで都合のつかなかった数人を除いて、ほとんどみんなが参加したそうだ。H.N先生と私は、公務が重なって同行できなかった。残念。
一人一人への学位記を、H.N先生と私から渡す。そして、みんなで記念撮影。
さすがに全員というわけにはいかないので、ここでは音楽系の12人についてメモしておきたい。
<ずほ>ピアノが上手で、とても賢い。なのに、どうしてだかものすごくアホなので、先生たちからいじられている。独特のずほ語は、最近は少しおとなしくなったか。何事を任せてもいつもちゃんとこなして、人のために奔走することも厭わない。誰かがずほの人柄を悪く言ったりすることは決してない。
<し~ちゃん>1年生で、初めて作曲の授業を取った時には本当にどうしたら良いかわからない様子だったのに、1年間の最後には立派な作品ができあがった。伸びシロの大きさに感服したが、それがこの人の能力の高さであることは、その後の3年間で何度も証明されることになった。時々笑い過ぎて壊れる。
<かなっぺ>最も控え目のようにも見える。だが、授業発表会の運営が失速していたとき、一人で黙々と対処してくれていることを聞いて、かなっぺらしいなと思って嬉しかった。真面目に取り組む努力家であることを否定する人は誰もいないだろう。この人が楽しそうに笑っていると、何となくホッとする。
<ねんねん>1年生の時、地元のホールの企画をやってみたい、なぜならば、今その仕事をしているのが「そこらの普通のおっさんなんです」と言ったのを聞いて爆笑した。ちゃんと仕事をしてほしい、文化行政に対してそう言いたかったのだろう。就職先はホールではないが、その志は何かのかたちで活かされるはずだ。何とも力の入っていない笑顔は、ある意味癒される。
<りんない>最近学校に来ているの?見かけないけど・・・と某先生が心配していたことがあった。私の授業、ちゃんと来ていますよと別の先生。十分な単位を取って卒業して、ちょっと意外な仕事に就くことになった。学校でだらだらしたりしないで、用事が終わったらさっさと帰り、自分にとって本当に必要なことを見極めていたのかも知れない。
<スギイちゃん>スギイちゃんは、ふだんは物静かで眠そうにもみえる。しかし、実はそんなことは全然なくて、授業中に指名して弾いてもらったりすると、嫌な顔もせずに出てきて、きちんと弾く。圧巻だったのは卒業研究での丁寧な作業ぶりだ。出版社に就職すると聞いて、なんかすごくスギイちゃんらしいなと思った。
<ぬーまん>2005年の写真では、ほとんど少年のようだ。本人はあまり変わってないというかも知れないが、この4年間で、その風貌だけではなくずいぶん変わったと思う。礼儀正しく思いやりのある青年になった。作曲を専門にするがピアノも上手だから、これからはもっと多くの人から、いろいろなことで頼られるようになるだろう。大学院での研究も楽しみだ。
<はぎりか>歌唱に関して、とても高い力を持っているのに、格好をつけたりひけらかしたりしないところが、この人の育ちの良さだろう。仲間の新曲なども喜んで歌う。いつも明るいオーラが漂っているように思えるのは、笑顔で挨拶してくれるからだろうか。某神社の「福娘」に選ばれたのも納得できる。歌を勉強するために学校に残り、もっと上を目指す。
<Watta>音楽が溢れてきて止まらない感じだった。そんな新入生を見て、うるさがったり少し呆れていた上級生もいたようだが、高校時代には思うように叶えられなかった音楽を勉強する環境と仲間を得て、存分に泳ぎまわっていたのだろう。希望の研究室は、初めは敷居が高かったが、体当たりを繰り返して入門を許された。彼を弟子にしたら、師の方だって良いに違いないと思って、私も彼の背中を押した。春からは、その成果と自信を持って東京に向かう。本当の力が試されるのはこれからだが、熱意だけは誰にも負けないだろう。
<ぐーちゃん>入試で弾いた電子オルガンの見事な演奏は、今でも強く印象に残っている。そして、自分で編曲したその譜面を見て、高校生とは思えない音楽的な力の持ち主だと感心した。作曲の授業も楽しんだ。おもちゃ箱ひっくり返し系の曲を作らせたら、この人に敵う人はなかなかいない。融通のきく力を持っているから、音楽の広い範囲をカバーする仕事ができるだろう。春からは小学校で、3人しかいない5年生の担任の先生になる。ラーメンを食べる時は、替え玉が必須。
<まっすん>カメラを向けると逃げる。集合写真を撮ると、ほとんどの場合視線を外している。偶然なのか故意なのかはよくわからない。シャイでクールなまっすんだが、フルートの腕前はしっかりしていて、それはこれからも、いろいろな場面で彼女を助けるだろう。卒演で、最後に集合写真を撮ることになっているのに、自分の出番が終わったら、さっさとドレスを脱いでしまったあたりも、まっすんらしい。結局、あとでもう一度着たけれど。
そして、留学中の<ずっけん>は、そろそろ帰ってくるのかな?
謝恩会で、卒演後のレセプションの写真を、2005年の写真とセットにして、音楽系のみんなにプレゼントした。謝恩会も終わりがけの頃、数人が駆け寄ってきて、寄せ書きを渡してくれた。予想外のことだったので、不意を打たれた。寄せ書きの中央には、同じ時の別の写真が貼り付けられている。
何ものにも代えがたい嬉しいプレゼントだった。
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