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2006年4月 4日 (火)

ポラーノの広場(2)

合唱劇「ポラーノの広場」は、昨秋山形で、合唱団「じゃがいも」によって上演された。「じゃがいも」はとても楽しい合唱団で、お父さんやお母さんの練習についてきた子どもたちも、一緒にまじって歌ってしまうのである。そんな子どもたちのことを「子じゃが」と呼んでいる。
この日は、萩京子さんの合唱曲「はっぱと りんかく」も演奏された。柔らかくしかし芯は強く、ちょっととぼけていて暖かい、まどみちおさんの詩の魅力を十分に引き出した曲だ。
後半に、私の作曲した合唱劇「ポラーノの広場」。上演にあたって書いたプログラム原稿は、当日会場に来てくださった方々以外には読んでいただける機会がないので、以下に掲載しておこうと思う。なお、初出の原稿に、ほんの少し手を入れてある。

0405

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To:kenji-M@ihatov.or.jp
SUB:RE:「ポラーノの広場」~宮澤賢治へのEメール~

賢治さん、こんばんは。今夜は、山形駅に程近い新しいきれいなホールで、「ポラーノの広場」の練習を聴かせてもらって、最終の高速バスに飛び乗り、仙台に戻ってきたところです。賢治さんも、「ポラーノの広場」の中で、センダードの街の様子を描いていますね。高速バスが暗い峠を越え、トンネルを抜けてたどり着く現代のセンダード、つまり仙台、その繁華街広瀬通は、たくさんのネオンが「モール」のようにきらきら光っていて、賢治さんが見たら、さぞかし目を白黒させてしまうことでしょう。でも、毒蛾はいませんから安心してくださいね。それはともかく、今夜の私のちょっと複雑な心持ちをどんなふうにお伝えすれば良いでしょう。嬉しいような胸がいっぱいのような少しさびしいような・・・。

賢治さんの「ポラーノの広場」を合唱劇にすることになって、作曲を始めようとしたとたん、正直私は頭をかかえてしまいました。だって、よくわからないんだもの。山猫博士って「山猫を釣ってあるいて外国へ売る商売」だっていうんだけれど、売られた山猫はどうなるの?ファゼーロのお姉さんロザーロって、「旦那」のところで何をしている?「皮を十一枚あすこへ漬けておいたし」というけれど、何の皮?なぜ十一枚?あすこってどこ?漬けておくと何ができるの?・・・きりがない。
しかも長い。原作そのままに作曲すると、上演時間3時間を越える大オペラになってしまう。あぁ、賢治さん、もっと長生きして、もう少し整理してくれてたらなぁ・・・と何度思ったことでしょう。
でもね、どの場面も何だか面白いんだなぁ・・・。

まぁ、いいや。

おいおい!まぁいいやじゃ困るだろう!・・・いえ、たしかに学者さんだったら「まぁいいや」では困るでしょう。でも私は作曲家で、合唱団のみんなは、なかなか出来てこない楽譜を首を長くして待ってくれている。いつまでも頭をかかえてばかりいないで、なんとか少しでも早く音にしてあげなければいけない。「なんのことだか、わけのわからないところもあるでせうが、そんなところは、わたしにもまた、わけがわからないのです」(「注文の多い料理店」序)などと言う賢治さんのことです。きっと許してくれるだろうと勝手に考えて、よくわからないところにも、とにかく音をつけていきました。ところがどうでしょう、音がついて歌われると、みるみるうちにことばが立ち上がってくるのです。私が考えた音なんか貧しいものなのに、ことばが音にしみこんでいって、全体を豊かに膨らませてくれるかのようです。今までわからなかったところが、それでわかるようになったかと言われると、やっぱりわからないところはわからないままだけど、少しくらいわからないことなんかどうでもいいと思えるようになってくる。読み慣れたから?いや、そうではない。それこそが賢治さんのことばの力であり魔法であると思うのです。

テキストの整理に頭をかかえている私をみかねて、指揮者の鈴木さんや団員の東海林さんが、マラソンランナーに付き添う伴走者の心配りで、幾通りもの案を考えてくれましたし、演出の山元さんが最後には何とかしてくれるという安心に甘えて作曲をしていきました。そして、聴きに集まってくださった皆さんの前で、「じゃがいも」のみんなが歌って「ポラーノの広場」という合唱劇を創りあげる。実は、その過程こそが賢治さんが思い描いたポラーノの広場の建設そのものだったように思えて仕方がないのです。もうすぐ私たちのポラーノの広場ができあがる・・・高速バスで仙台に戻ってきたときの心持ちは、そんな感慨だったのかも知れません。この作品のいちばん最後に歌われる「つめくさ灯ともす 夜のひろば/むかしのラルゴを うたいかわし」という「ポラーノの広場のうた」、林光さん作曲の名曲で知られているこの歌を、私は静かな祈りの歌にしたいと思いました。私たちのポラーノの広場、賢治さんも喜んでくれるだろうと信じています。

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文末の部分、初出では「私たちのポラーノの広場、賢治さんは喜んでくれるでしょうか。」と、いささか控え目に書いていたが、TV「ビフォー・アフター」のアナウンスみたいだよと指摘されたので、上記のように直しておく。
合唱劇「ポラーノの広場」は、仙台での再演を企んでいる。まだまったく具体的ではないけれど、実現するといいなぁ。そして、鈴木さんとは、もっと厖大な計画を話し合っている。まだ夢物語の段階だが、いつか実現させたいと思う。ただし、実現までに2~5年くらいはかかるだろう。

合唱団「じゃがいも」のホームページはこちら

http://homepage2.nifty.com/jagaimo/
(勝手にリンク張ったよ、ごめん!ついでにこの記事の写真も、「じゃがいも」のHPから転用させていただきました。)

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コメント

『ポラーノの広場』おもしろいですよね~♪曲全体に先生がにじみ出ていた気がします(笑)先生は何を企んでいるんですか???っていっても、どうせ教えてくれないんだもんなぁ。

曲全体ににじみ出るって、どういうんだろう・・・。企みは言えません。オソロシくて。少なくともここには書けないから、そのうちこっそり語りましょう。

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