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2006年5月20日 (土)

「ガリバー」

オペラシアターこんにゃく座公演「ガリバー」を観る(朝比奈尚行=台本、萩京子=作曲、立山ひろみ=演出、東京三軒茶屋・シアタートラム)。

原作はジョナサン・スウィフトの「ガリバー旅行記」だが、訳者は原民喜。これを選択した時点で、あたりまえのメルヘンで済むはずがないことは明らかである。果たして朝比奈台本は、原民喜再話による「ガリバー旅行記」と、「夏の花」をはじめとする被爆体験を刻んだいくつかの作品との間を往還し、そこにオリジナルな言葉、原民喜を現代から見つめるような視点が加味されるものとなった。

廃墟を思わせる場に、巨大なジャケットが不安定な角度で吊り下げられた舞台セット。冒頭から爆撃機の飛来音に覆われ、「ガリバー」の物語はいずれ「被爆体験」と重なっていくであろうことを予測させる。
萩さんの音楽は、往還する二つの局面、どちらの場面でもあまり大きく変化することなく進んでいく。「ジャストマイサイズ」というタイトルの、ちょっとポピュラーソング風な歌などを除けばあまり寄り道はしないし、こちらの場面だからこういう音楽手法・・・といった「書き分け」は聴き取れなかった。9年ぶりの大改訂とはいえ、この作品に対する思い入れの深さが、音楽的寄り道を止めるのだろうか。ピアノ、ヴァイオリン、クラリネットを過不足なく使い(ことにバス・クラリネットがとても効果的だった)、役者の奏する種々の打楽器が要所を引き締めている。

二つの局面の像がはっきりと結ばれていくのは後半である。「死なない人間」のいる国や、馬の国の支配者フウイヌムと人間そっくりな醜い生きものヤーフの話、そして川の中に浮かぶ裸体の少年の屍体や、原爆投下の数日後練兵場の柳の木のそばで悄然とたたずんでいた馬の姿について語られる場面と進むにつれて、原民喜が呻くように遺した言葉は厚く折り重なっていく。それらの言葉は何とも重いのだ。「ほらはやく/不吉な黒雲の下/嵐のまっただ中へ/船の向きを変えなさい/大好きなわたし」というラストの歌は、それまでモノトーンだった上着の下から淡く彩色された衣装があらわれ、ほのかな希望を求めるように舞台は明るく美しくなるが、それまでに溜まった言葉の重さを受けとめきることはできない。筋肉が引きつって笑顔にはなれないといった感じ。もっとも、このひとつの場面だけで折り重なった重さを昇華しようとすれば、嘘臭くなってしまうことを作り手たちはわかっているだろうから、微妙な空気のまま幕が下りる。淡く現われる前向きな歌、そのさなかにこそ爆撃機は飛来するというのがおそらく現実だろう。二度挿入される漫才をもじった狂言回しなども、あまり面白くないから哄笑を呼ばないが、そもそも哄笑を呼ぶ意図はないのだろうから、やはり気配は微妙である。

しかし、被爆というテーマは、どんなかたちにせよ愚直なまでに語り続けられるべきであると、私は思っている。けれども、観念的に憤ってみたり、根拠もないのに未来に能天気な希望を見出そうとしたりすることにもまた抵抗を感じるのだ。大声ではないがはっきりとした言葉で語る微妙な後味は、戦争を知らない世代がこの重いテーマに向き合ったひとつの真摯な回答例であると言えるのかもしれない。

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コメント

こんにゃく座のオペラ、生で見てみたいなぁ・・・。いっつも東京とか遠いところで公演してるから、なかなかチャンスがないんです。大石さんの歌を聴いたら、ステキすぎて、きっとふぬけになります☆☆でも、ガリバーと被爆ってすごい組み合わせ・・・。

9月に仙台近郊で公演があるかもという話を聞きましたよ。学校公演での巡回が多いから、一般公演があるかどうか詳細は不明ですけれど。

えーーー!!!!!本当ですか?!!!見たいよー!!!カモ~ンこんにゃく座♪

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