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2006年8月11日 (金)

日本の謡・歌・唄

現代芸術論第14回(7月27日分)

日本の民謡や民俗芸能を素材にした作品。
間宮芳生「日本民謡集」は1955(昭和30)年に始まり、今なお書き継がれている作品集。作曲者自身、この曲集は「私の作曲の仕事の中心の核のようなもの」と述べているとおり、アルト歌手内田るり子氏との「共同研究」でもあった初期作から最近作に至るまで、間宮作品のエッセンスが凝縮された曲集であると言えるだろう。民謡からの作曲といえば、ブラームス「ドイツ民謡集」、バルトークとコダーイによる「ハンガリー民謡集」、そしてファリャ「7つのスペイン民謡」を思い出す。さらに、歌のパートに対するピアノ・パートの楽しい意外性という意味で、ストラヴィンスキー「4つのロシアの歌」や初期のいくつかの歌曲を加えても良い。間宮「日本民謡集」は、これらの仕事を意識した上で書かれながら、これらのどれよりも端正な居ずまいを誇る。素材となった唄は、「とのさ」や「まいまい」「南部牛追い歌」のようなスタンダードな民謡の他にも、東京・青ヶ島の呪術的な「でいらほん」、八戸神楽による「翁舞の唄と囃子」のような民俗芸能の唄が含まれていて大変多彩。秋田の「杓子売唄」のようにしばしば単独で演奏される作品もある。そして、ピアノパートは単なる「伴奏」ではなく、歌のパートと常に拮抗するように書かれており、そこからは日本の伝統楽器やジャズからのエコーを聴き取ることもできよう。
CDの時代に入ってから長らくディスクで聴くことができなかったが、フォンテックからCDが出て、最新作を含めた全曲を聴くことができるようになった。ルネサンスやバロックの名歌手である波多野睦美、東京混声合唱団時代からの表現者である森一夫による歌唱は、それぞれの曲のキャラクターを的確に表現していて、この作品の決定盤と言うべきディスクになっている。野平一郎、寺嶋陸也のピアノによる優れたサポートも特筆すべきだろう。

今なお書き継がれている間宮作品ということでは、合唱のためのコンポジションを忘れるわけにはいかない。現在第16番まで発表されているこの連作は、ゆるやかに繋がったシリーズを成しながらも、それぞれが強烈な個性を放っている。第5番「鳥獣戯画」は1966(昭和41)年の作品だから40年前ということになる。この作品は、他の多くの「コンポジション」シリーズのように、ノンセンス・シラブルだけで構成されている。この作品を形作る音楽語法は、決して「保守的」ではなく、むしろかなり大胆なものだが、いわゆる「前衛」のそれとはまったく違っていて、聴く者を疎外させるようなことはない。哄笑をたっぷり含んだ大らかな風刺の表現は、鳥羽僧正の筆と伝えられている「鳥獣戯画巻」同様みずみずしく、色褪せることがない。

日本の民謡や民俗芸能を素材にした作品ということで、柴田南雄の仕事にもひとこと触れておきたい。1973(昭和48)年の「追分節考」を皮切りに多くのシアターピースが作られたが、やはり「追分節考」が現われた時の新鮮さは記憶に残る。ここには合唱と演劇と音楽学が融合された面白さ、楽しさがある。そしてこれは、伝承と前衛とをひとつの作品の中で共存させるという実験的な「場」でもあるけれど、単なる試みの範疇だけにとどまったものではない。本来はコンサートホールでの生演奏に立ち会って、音の空間性や重層性を受け取らなければ作曲者の意図が完全に伝えられたとは言えないけれど、ディスクを聴くだけでは致命的に不十分とまでは言えないと思う。シアターピースであるとはいえ、その根幹はさまざまなヴァリエーションを持つ「追分節」が生き生きと構成された美しい音楽で、聴き終わったあとにはほのかな郷愁のようなものが残る。視覚的、空間的要素を取り払って単なる合唱曲としてディスクで聴いたとしても、一定の充実感を味わうことができるのである。

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コメント

間宮さんの曲ってほんとにおもしろいですね。他の現代曲って、今にも壊れそうなぴりぴりした感じがしてしまうけど、間宮さんの作品は不思議だけど、友達みたいな親しみがある気がします。『とのさ』と『でいらほん』と『杓子売唄』が特におもしろかったです♪『鳥獣戯画』は、声明のところがずきゅん!でした。

間宮先生の曲には、鋭い刃物が光っているようなこともあるんですが、たしかに一般にいう「現代曲」とはだいぶ違っていると思います。どんな場合でも音楽が「単刀直入」だから、聴き手は、勿体ぶった身振りに惑わされたり悩まされたりすることがないでしょう。
「声明のところがずきゅん!」ってどういう意味だろう・・・?

ははははははは(((^0^)))間宮さんの曲に射止められてしまったというのかしら。すごくよかったってことですよ(笑)この間、ナクソスで出してる武満徹さんのCDをラジオの新譜紹介で聞いたのですが、そっちはずきゅん!とはきませんでした・・・。し~ちゃんには武満さんのすごさがまだわかりませんでした。。。。

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