作曲って面白い?
昨日も書いたように、今日から2日間、学生くんたちの音楽祭(萩音祭)が始まった。毎年恒例で今年は31回目になる。ピアノをはじめとする楽器の演奏、声楽、弦楽、合唱、それにガムランやサムルノリなどの民族音楽など、様々なステージが、授業参加、個人参加といったかたちで行なわれる。そして近年卒業生さんたちの参加が増えているのは嬉しいことだ。演習室や講堂での2日間のあと、3月3~4日には、街中のホールで卒業・修了演奏会が開かれる。今年のプログラムはこちらから見ることができます。→http://shuonsai.miyakyo-u.ac.jp/top.html
そして今日は、私が担当する授業で作曲をしている学生くんたちが、新曲を発表した。昨日も書いたけれど、ほとんどまったく経験のない学生くんたちに作曲をしてもらうのは、とても面白い。技術でごまかせない分だけ、作曲者の「人となり」が顕わになるのだ。
もちろん楽器演奏でもそうかも知れない。けれども、演奏ではとりあえずバッハとかベートーヴェンなどという衣をまとう。それが、作曲では真っ裸同然なのである。そのことを知ってか知らずか、経験のない人は人前で自分の曲を披露することをとても恥ずかしがる。だから、まずは人前で曲を発表することをそれほど恥ずかしいと思わなくなれば、もう大丈夫。ある程度音楽の基礎的な力がある人ならば、誰でも作曲はできる。
音符くん。書けません、ダメです・・・とさんざん言っていたけれど、キミの曲は5分以上あったよ。とにかく手探りでまとめきった粘りは貴重だ。そして、魅力的なフレーズがいくつも聴こえてくる作品になった。
チサさん。職人がノミと彫刻刀でこつこつと刻んでいって仕上げていったような手触り。まだ熟練した職人ではないとしても、その無欲な仕事ぶりには独特の存在感がある。
ユキノさん。もともと技術を持っている人だから、手堅くまとめた。だが、その手堅さこそが自分のウィークポイントだと本人が一番思っているだろう。それを越えることは確かに簡単ではないけれど、焦らず乗り越えてほしいな。
マリさん。飾り気やケレンのない作品。曲作りには苦労したかも知れないが、とても率直で純朴な感性で満たされた曲になった。この曲を聴くと平和な気分にさせられる。作曲者の人柄をまっすぐに反映しているからだろうと思う。
あんずさん。はっきり言ってすごくヘン!森の奥の小屋の中で魔法使いが大釜でアヤシイものを煮ているような曲だが、創造というもののツボをしっかり押さえている。書きたいものを真剣に探したらこうなった。だから、すごく面白い。
ユリさん。みんなは知らないし私も知らなかったけれど、実は曲作りの経験は結構あるらしい。音楽をテクスチュアで考えて作ることができる人。やりたいことは自分の中でとても明らかになっていて、それを澄んだ音色に乗せて実現した。もっと早く知っていたら、卒業研究を作曲でやらないかいってスカウトしたんだけどな。
今日はこの他にも、卒業生のしづさんがフルートとピアノの曲を発表。これはもうすぐにもレパートリーにできる佳品だ。明日は、Nぬまくんが新作を用意している。いずれ大きな作品になる(はずの)一部分。楽しみだ。
実は、大学院の今回の作曲の授業では、宮沢賢治の童話の中の詞に作曲をするという共通課題をやってもらって、こちらもとても良かったし面白かった。内輪の発表にとどめてしまったのが残念だった。
短くても世界に二つとない音楽作品。この経験を大切にしてほしいなと思う。
« 作曲日記って面白い?作曲はどう? | トップページ | 青春の音楽 »
コメント
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/189419/13926024
この記事へのトラックバック一覧です: 作曲って面白い?:
最後まで苦しみぬきましたが(汗)やはりこうして出来て発表すると、これが自分の曲なのだなぁと感慨深いものになりますね。
自分の思いの塊を音にするのは、難しいですがとっても楽しいです♪♪
だから、作曲ってすごく面白いです!!!
これからもよろしくお願いしますゞ
投稿: 音符の人 | 2007年2月16日 (金) 01時46分
いいんですよ、内輪さんでww
明日も楽しみですね~。
投稿: こずゅ | 2007年2月16日 (金) 02時05分
しづちゃんもでたんですねーー。
私も横浜に行ったら自分の技術をいちから磨きなおして、いつか出演したいです!!
(できるかしら・・大口叩き過ぎました・・)
聞きにぐらいいけたらいいなと思います。
投稿: のぞみ | 2007年2月16日 (金) 15時29分
私は作曲したことがないけれど、素直と言われる自分のいい部分だけを全面に出そうとして、却ってしたたかな曲に仕上がってしまいそうで怖い。
だから作曲…いたしません。
投稿: かぶこ | 2007年2月16日 (金) 17時57分
ああ作曲・・あのえぐられるような恥ずかしさ、あれ以来感じていないです。楽しかったです。
しづちゃんの新曲、聴きたかったなあ。
卒演、修演のプログラム拝見しました。
(まだ全員の顔と名前が一致して嬉しい)
皆さん、どうか、がんばってください、楽しんでください。遠くから耳をすまして応援しています。
投稿: Mze | 2007年2月16日 (金) 18時58分
なんだか、面白いだろ?って言わせているみたいだね(笑)。
音符くんは苦労していたのを知っているから、もっと型にはめられるようにしようかと思ったこともあるんだけど、そうしなくて良かったな、結果的には。
こずゅさんの「どっどどどどうど」良かったですよ。やっぱりどこか木管の人だなぁと思う。それがまた面白いね。
かぶこさん、何言ってるんだよ、キミの「葉脈の歌」は傑作だと思ってるよ。あれでいいんだから、作曲って。
のぞみさん、Mzeさん、同じ萩音祭で発表したの懐かしいね!あの頃からかな、作曲をしてもらうのは面白いなぁ・・・と思い始めたのは。ぜひまたいつか、作曲でもいいけど、作曲でなくてもいいから、会員参加してくださいな。
投稿: きっきぃ | 2007年2月17日 (土) 01時56分
昨日はわたわた忙しくて先生に感想聞く暇がなかったので是非率直に批評していただきたいです!
し〜ちゃんは俺の曲が弾けて良かったと言ってくれました。今回作曲を発表した皆さんにも「自分の作品を他人に弾いてもらう喜び」を是非感じてほしかったですねぇ。
投稿: Nぬま | 2007年2月17日 (土) 08時46分
あぁ!葉脈の歌、今の今まで忘れていたのに…きゃー。
最近は曲に歌詞を付けるらしいですよ。
クラシックではなくポップスですが。
投稿: かぶこ | 2007年2月17日 (土) 23時41分
Nヌマくん、具体的なことはともかく、17日付けの記事に少し書いておきました。そう、「他人に弾いてもらう喜び」は本当に感じてほしいことだね。近いうちに、そのことも記事にしてみましょう。
投稿: きっきぃ | 2007年2月17日 (土) 23時57分
>かぶこ
そそ!葉脈の歌は、他人にはまねのできない傑作です!
投稿: きっきぃ | 2007年2月18日 (日) 00時45分