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2007年3月25日 (日)

「ゴイェスカス」とピノのこと

Y一さんとピノちゃんが結婚することになり、披露宴に出席した。

ピノはちょうど1年前に卒業して、今は市内の小学校の先生。卒業論文をお付き合いした関係で、テーブルスピーチをするようにお頼まれしたので、彼女が研究した「ゴイェスカス」のことなど、その頃のことをいろいろ思い出した。

「ゴイェスカス」は、スペインの作曲家グラナドスが作曲したピアノ組曲。はじめにこのピアノ組曲が作曲され、後にこれをもとにオペラが書かれたのだそうだ。逆ならわかるけれど、ピアノ曲からオペラが書かれるというのは、他に例を聞いたことがない。ピアノ曲の音楽のほとんどがオペラの中に組み込まれている・・・というのは、ピノの研究成果。

作品に惚れてこれを研究楽曲とした彼女が、おそらく最も悩まされたのは楽譜の問題だっただろうと思う。

出版されている楽譜は、完璧なものと思われがちだ。例えば、バッハやモーツァルト、ベートーヴェンといった、何百年にもわたって多くの人々が校訂作業をしてきたものはともかく、それほど研究の進んでいない作曲家や作品には、ありとあらゆるレベルの楽譜上のミスや不明な部分があったりする。例えば、臨時記号やナチュラル記号の付け忘れ、スラーやスタッカートといった標語の不統一などなど。前後関係から見て明らかにわかることも多いが、複雑な和音になると、理論から音を判断することが困難な場合も多い。同じような曲想が何度も出てくるのに、そのたびにニュアンスが違ったりするのは、作曲者がわざと変えているのか、校正ミスなのかわからない。

グラナドスの作品にも、ひとつひとつ音を調べていくうちに、特定できなくて迷ってしまうような音がたくさんあった。研究を進めて行く中で、彼女は近年校訂された楽譜(アリシア・デ・ラローチャ校訂)が海外で出版されたという情報を得て、すぐにそれを取り寄せ、ひとつひとつの音を再度緻密に検討した。それでもなお、いくつかの音は不明なまま残ったが、その多くを解決まで導いた根気強さは大したものだった。

もうひとつ印象に残ったことがある。

「ゴイェスカス」は、画家のゴヤの作品と関連があるのだが、堀田善衛著の「ゴヤ」という本、かなり厚い、全部で4冊からなる評伝をたまたま私が持っていたので、夏休みの前に「とりあえず1冊貸すから、続きも読みたかったら連絡して。でも無理しなくていいよ」と渡しておいた。実は、私も読み通していなかったのである。すると間もなく「続きも貸してください!」とメールが来たのだった。

すぐに残りの3冊を宅急便で送ったが、これはある意味、とてもピノらしいことだったなぁと思う。彼女が4冊を読破できたのかどうか聞いていないけれども、読破したならばもちろん、全部は読めなかったとしても、少しでも関係のある資料は手元に引き寄せておきたいという気持ちの表れで、そういう積極的な姿勢は、研究をする上で大切なことだ。

難曲であること、そして資料の乏しさを克服して、とても良い論文を書き、情感に満ちた演奏をした。卒業演奏は、組曲の中の「愛と死(バラード)」という曲だけだったが、披露宴で配られたカードの自己紹介に「好きな作曲家=グラナドス」と書き、私へのメッセージカードにも「ゴイェスカスを全曲弾きたいです!」と書いてくれていた。本当に好きなんだねぇ。見かけによらず(?)ラテンな女性なのかも知れないな。

Photo_25 Y一さんは学生オケの先輩で、誠実にして軽妙な人間味溢れる好青年。明るく芯の強いピノと、ふたりの人柄の表れた気持ちの良い披露宴だった。これから仕事と家庭の両立は大変だろうと思うけれど、それに加えていつか全曲演奏に挑む機会が来るのを楽しみに待とうと思っている。

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コメント

 きっきぃ先生、先日は年度末のお忙しい中ご出席いただきまして、ありがとうございました!余韻に浸りつつ、日常生活に戻りました。周囲も喜んでくれ、私自身も完全燃焼です(笑)これから、マイペースながら仕事と家庭とグラナドス?の両立をしていきたいと思います!まずは、ネット環境をなんとかしなければ…です。今、実家です。。今後ともよろしくお願いします♪

やぁ~!ぴのざえもんさん、いらっしゃい!
いろいろ疲れたでしょうね。お疲れさまでした。でも、とてもいい会だったよ。
完全燃焼した?いや、生活はこれからなんだから、あれで完全燃焼していては・・・(笑)。
ネット環境がないと何かと不便でしょう。このページも見られないしね(笑)、学校からはアクセスできないだろうし、わかめちゃんの研究員にお願いしてみたら?

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