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2007年3月18日 (日)

「寺嶋陸也ピアノリサイタル」を聴く

昨日は、大学院二次募集入試の仕事を勤めてから新幹線に乗り、東京文化会館小ホールで「寺嶋陸也ピアノ・リサイタル」を聴く。

寺嶋さんの作曲、演奏両方の仕事を支える「サポーター」たちが主催する(と言って良いのかな)リサイタル。彼をよく知り、その仕事を尊敬する人たちが多く駆けつけ、たいへん盛況。ふだん自作の演奏や、室内楽などを中心に活発な演奏活動を行なっている中で、時折このような本格的なピアノリサイタルを開いてくれるのは、嬉しいことだ。

プログラムは、バッハ「パルティータ第2番」、シューマン「幻想曲」、モンポウ「内なる印象」そして林光の第3ピアノソナタ「新しい天使」。

バッハは、ロマンティックに傾いた演奏と言われるかも知れないが、ルバートやディナーミクの変化は気紛れではなく、彼の明確な演奏設計を反映するもの。その結果、すべての声部が明瞭に響きあう美しい立体造形が立ち現われることになった。私たちは、バッハだけではなく、ベートーヴェンもショパンもドビュッシーもシェーンベルクも知っている。その上で、バッハを新しくどう弾くか、どう聴くかというテーマは、曲の造形を理解すること抜きには成り立たないだろう。

シューマンの難曲は、ともすると第1楽章だけで、弾き手も聴き手もへこたれてしまいがちだが、あくまでも「3つの楽章をもって完結する壮大な叙情詩である」ことを見事に示した演奏。安手のロマンティシズムに溺れることなく、全体と細部との対照が常に行なわれ、構築的に組み上げられていったからだろう。

第3楽章のある部分で、シューマンの時代の闇とはどのようなものだったのだろうか・・・と、ふと妙なことを考えてしまった。心の闇は計り知れず、ここでいう闇とは、夜の闇、あるいは夜の室内の明るさのことである。

私たちは、私たちが日常としているこの明るさの下で、数世紀前の音楽を聴いている。本番中のコンサートホールの中は、照明が落とされているけれども、一歩ロビーに出ると、ガラスの大きな壁を通して眩しいばかりの街のネオンが目に飛び込んでくる。そして、それが普通のことであるから特段の違和感も持たない。

シューマンの時代、当然ながら、屋外の闇は私たちが暮らしの中で感じるよりも深く、それが日常だったわけだ。闇を隔てた演奏会場には、それなりの明るさが確保されていただろう。けれども、そんな日常生活の中で、この作品はどのように聴こえたのだろうか・・・。

もちろんこれは妄想だ。だがそれは、寺嶋さんの演奏がシューマン時代の闇とかけ離れていると感じたからではなくて、むしろその逆のように思えたゆえの妄想なのである。

モンポウの作品は、私は恥ずかしながらほとんど知らなかった。いつまでたっても未知の曲がたくさんあるのは当然だとしても、普段できるだけいろいろな作品を聴くようにはしているのだけれど、この歳になってまだ、今まで知らなかった名品に出会うことができるのは幸せというべきかも知れない。

モンポウの作品は、寺嶋さんの作曲家としての語り口に、もしかしたらとても似ている面があるように思う。「哀歌」「ゆりかご」「ジプシー」などのタイトルは、内容を直接に示すというよりは象徴的であり、そこで鳴る音楽は作曲者の意図するところすべてを言いきるものではない。実際に書かれ演奏される音楽は饒舌ではなく、むしろ抑制されている。それは意図の入り口にしか過ぎず、精選された音だけを提示することで奥深い世界を想像させるような在り方。これは、寺嶋さんの「ロルキアーナ」などの作品を想起させ、彼の自作曲の演奏を聴いているかのような説得力と安心感がある。

寺嶋さんが林光作品の良き解釈者であることは言うまでもない。作曲者が弾いたら、おそらくもっと淡々としたものになるだろうが、彼の解釈はこの引き締まったソナタが内包している振幅を大きく広げて見せる演奏で楽しい。

アンコールは、カタロニア民謡「鳥の歌」、宮澤賢治「星めぐりの歌」で、いずれも寺嶋自身の編曲。今回のリサイタルのプログラムには自作が組み込まれなかったので、嬉しいデザートだった。

(今月中くらいを目処に、最近特に聴いて気になっているピアニストのことをあと二人、書いておきたいと思っています。)

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コメント

どこに行くにも30分という(笑)私の魔法の自転車に乗って、事務所から家に帰る途中、多摩川沿いの土手を走っていると、ちょっとの距離だけれど、電気がまるでない場所があります。でも河原だから広々と見渡せて、なにより、月の晩は月の光の明るいこと。びっくりします。寒い日でもその場所だけは空気も止まって、ちょっと不思議な空間になります。月の光で木の陰ができる、ほどです。東京生まれの私にとって月は空で輝くものであって、明るく照らしてくれるものではなかったのですが、事務所が引っ越したおかげで、そんな場所に出会うことができました。
でも真っ暗なのでね、じゅうぶん気をつけてゆきますよ。
きっきぃさんの文章を読んで、こんなことを思った私でした。

こんばんは。やっとウチのガッコは今年度今日で終わりとなりました(雑務はまだまだ残っておりますが)。ただいま今日の仕事が終わり一息です。
寺嶋さんのコンサート、行けなかったのですが、チラシを眺めながら想像を膨らませておりました。邦人作品や現代曲*がないプログラミングに非常に興味が湧きました。中でもバッハは聴きたかったですね。また何といっても私の目を引いたのが、「モンポウ」です(*これは一応現代作曲家に入りますね)。モンポウは私が高校の頃ソルフェージュを習っていた作曲家Y島先生から「本当は聴かせたくないんだけど特別ね」と秘蔵のLP(「内なる印象」)を聴かせていただいて、その音使いのとりこになってしまった作曲家でした。この頃日本ではほぼ無名でしたがラローチャが常にアンコールで弾いていたり、その後日本では熊本マリさんが録音したり、舘野泉さんの録音が実は結構早い時期からあったりで今では結構知られる存在になってきていると思います。寺嶋さんが取り上げられたのも大納得です。そういえばモンポウ自身の自作自演というのもあるはずです。一時期10枚組くらいで出ていましたが、私は買いそびれて単品で2枚くらいしか持っていません。かなりのお歳になってからの録音でこういうのが好きな人は病みつきになりそうな演奏です。
(話を戻します)アンコールに至るまで、魅力的な選曲。今私の頭の中は寺嶋さんのピアノの音がまわっています・・・。

>たのうえさん
ステキなコメント、ありがとうございます。多摩川の土手は、夜だとかなり暗いでしょうね。暗いのと広いのとで、不思議な気分になりそう。月明かりは、ほんと明るいです。わが家は廊下の中心に吹き抜けがあるのですが、深夜すべての電気を消していても、月の白い光が入ってびっくりするくらい明るいことがあります。
そんな月明かりには思わず見とれてしまうかも知れませんが、魔法の自転車とはいえ、どうぞお気をつけて!

>masaさん
寺嶋さんのスペイン好きは筋金入りですから、モンポウについて本人と話したことはありませんが、おそらくこれらの曲を弾いているのも、昨日今日の話ではないだろうと思います。彼は自演も聴きこんでいるようです。Y島先生がしぶしぶ(?)出してこられたっていうのは、面白い話ですね。

私が高3の時、合唱部の定演で「サウンド・オブ・ミュージック」を歌いました。とっっっっっっっっっっっっっっっっっても素敵な編曲で、みんなお気に入りだったんです。
私の高校は来年から男女共学になるので、今年が女子高最後の定演なんです。それで、今年の定演ではOGも含めて「サウンド・オブ・ミュージック」をまた歌うことになりました。
で、今更気づいたのですが、そのめちゃくちゃ素敵な編曲をなさったのは寺嶋陸也さんだったんです!!びっくりしました!編曲だけじゃなくて、演奏もすばらしいんですね。聴きたかった。。。
定演は6月なので、お時間がありましたらぜひぜひ聴きにいらしてください♪
あ、なんか宣伝みたくなっちゃってすみません。。。そんなつもりでは・・・。

>し~ちゃん
なるほどなるほど。寺嶋さんと○女高の合唱とのお付き合いは長いですからね。ぼくが仙台で仕事するようになる前から、彼は仙台に来ていたよ。し~ちゃんもステージに乗るんですね?そういう宣伝はどんどんしてください。というか、6月の定演、詳細が決まったらぜひ教えてくださいね。

ええっそうなんですか?うちの高校はそんなに寺嶋さんと仲良し(?)なんですか。知らなかったです!仙台出身?ではないか。。。
定演は6月25日(日)楽楽楽ホールです。たぶん17:00くらいからかなぁ。「サウンド・オブ・ミュージック」の他には高田三郎さんの「心の四季」を現役の子たちが歌います。あとはまだ決まってないみたいだけれど、たぶんポップス系の歌ではないかと思います。こんなにネタばれしちゃって怒られるかな。。。
先生のお言葉に甘えて、人のブログでこんなに宣伝しちゃってごめんなさい!自分のとこでしろってかんじですね。

うん、彼は仙台出身ではないけれど、そんなに仲良しですよ。「でしたよ」というべきかな。彼の本番には、よく○女高の卒業生さんたちが聴きに来ています。

こういう宣伝は大歓迎ですから、遠慮なくどうぞ。もう少し日が近づいてきたら、また教えてください。記事に書きますから。

このコメントを読んでくださっている他の皆さんも、こんなイベントがあるよとか、こういうことがあったよとか、何かあったらぜひお知らせくださいね。個人的にメールでいただけたら、私の方で記事に書きます。

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