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2007年4月 1日 (日)

伝説のピアニスト~田中希代子のディスクを聴く

過日、CDショップの視聴コーナーで、何気なくヘッドフォンを取り上げた。曲は、ドビュッシー「ベルガマスク組曲」のプレリュード。

最初の数小節を聴いただけで、仰天してしまった。何だこれは!こんなベルガマスク聴いたことがないぞ!?

アグレッシヴと書けばこの感じは伝わるだろうか・・・。ドビュッシーに「アグレッシヴ」は変じゃないの?と言われそうだが、たぶんそれが一番端的に表現できる言葉ではないかと思う。「力強い」というのとも少し違うが、音楽をグイグイ引っ張っていく推進力があるのだ。立ち止まる曲想の部分でも、決して音楽が停滞しない。

その「アグレッシヴ」さは、「月の光」でも変わらない。分散和音はキラキラ輝きながらはじけ飛び、「甘く通俗的な名曲」という先入観を粉砕する。ストコフスキーがベタベタなムード音楽にしてしまった最悪の(私は大嫌いだが、ある意味興味深いとも言えないこともない)編曲があるが、その方向とはまるで正反対。

すごく美しい音だっただろうと想像できる。そして、ふわふわと曖昧に漂うだけがドビュッシーだなんて大間違いと思い知らされる。

「子供の領分」の「雪が踊っている」などは、切れが良くてミニマルミュージックのようにさえ聴こえる。併載の「前奏曲集」抜粋も含めて、それぞれの曲のキャラクターを個性豊かに表現しているところはコルトーの演奏に通じるようにも思うけれど、コルトーよりもっとヤンチャ。

この演奏者は一体誰かというと、伝説のピアニスト・田中希代子なのである。ご存知ない方のために、略歴を記しておく。

1932年生まれ。安川加壽子氏に師事、50年パリ音楽院に入学。52年ジュネーヴ国際コンクールで、イングリット・ヘブラーと1位なしの2位を分け合う。53年ロン=ティボーコンクールで4位。55年ショパンコンクールで日本人として初めて入賞(10位)。予選では上位10人がほぼ横並びだったのにこの結果(1位ハラシェヴィチ、2位アシュケナージで、田中は10位)は不公平であると、憤慨した審査員のミケランジェリが席を蹴って出て行ったと伝えられる。その後、パリやウィーンで演奏活動を行なう。67年帰国後体調を崩し、翌年膠原病と診断される。以後、演奏活動は途切れてしまう。80年脳梗塞で倒れ、半身不随となる。96年永眠、享年64歳。

ピアニストとして活動することができたのは、10年あまりだった。すごいピアニストだったという話は聞いていたけれど、その片鱗はCDにも記録されている。サン=サーンスの2つのコンチェルト(4番と5番)の、華麗さと力強さとのバランスが取れた演奏も心に残る。コンチェルトのソリストとは、本来こういうオーラを放つものなのだろうと思わせられる。

それにしても、あまりにも残酷な人生ではないか。健康で演奏活動を続けておられたら、間違いなく日本を代表する世界的なピアニストになり得ただろうに・・・。

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