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2007年6月 4日 (月)

カザルスとセゴビア

現代芸術論第5回(5月22日分まず、この日の視聴曲目を示そう。

バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV1007 [パブロ・カザルス(チェロ)]

バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV1007より 1. プレリュード

バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番 ハ長調 BWV1009より 3. クーラント[アンドレス・セゴビア(ギター) ]

ポンセ:ソナタ第3番(1927)[セゴビアに献呈]より カンシオン ポストリュード

タレガ:アルハンブラの思い出(1896)

ロドリーゴ:ある貴紳のための幻想曲[セゴビアに献呈](1954)より カナリオ[アンドレス・セゴビア(ギター) ]

シューマン:アダージョとアレグロ 変イ長調 作品70(1849)

カタロニア民謡(カザルス編曲):鳥の歌[パブロ・カザルス(チェロ) ミエチスラフ・ホルショフスキー(ピアノ) 1961年11月13日 ホワイトハウス・コンサート]

カザルスとセゴビアには、いくつかの共通点がある。二人ともスペインの人であること。カザルスは1876年生まれ、セゴビアは1893年生まれと、カザルスが17くらい年上だが、ともに世紀をまたぎ20世紀後半まで活躍したのだから、同時代人と言って差し支えない。

そして、最大の共通点はそれぞれの楽器の「巨匠」であることだが、単なる「大演奏家」というだけではないところも共通している。

ためしに、チェリストに「あなたにとってカザルスは、『偉大なお父さん』のような存在だと思いませんか」と尋ねてみよう。否定するチェリストがいるだろうか?

同じように、ギタリストに「あなたにとって、セゴビアは『偉大なお父さん』のような存在だと思いませんか」と尋ねてみたい。好きか嫌いか個人的な好みはあるかも知れないが、カザルスがチェロに、セゴビアがギターに果たした功績の大きさに対して異論を唱える人はいないだろう。ロストロポーヴィッチが凄いとか、イエペスが好きとかいうのは、その後の話になるだろう。

これが、ピアノだったらどうか。「あなたにとって『偉大な父』は誰ですか」と尋ねたなら、実に様々な答えが返ってくるに違いない。ホロヴィッツ、ルービンシュタイン、リヒテル、ゼルキン・・・いやいや、グレン・グールドさと言う人もいるかも知れない(「父」という感じではないけれど)。

ヴァイオリンしかり。シゲティだ、いやティボーだクライスラーだ、いやいやハイフェッツだ、メニューイン、オイストラフ、ミルシテイン、スターン・・・。ちょっと思い起こすだけでも際限がない。

この空想は、カザルスとセゴビアの、それぞれの楽器における存在の大きさを表している。

カザルスは、それまでの奇妙な慣習を破棄して(彼以前には、練習中、右腕の腋の下に本を一冊はさんだまま弾かなければならなかったという)現代の奏法を確立したし、最もよく知られているのはバッハ無伴奏組曲を「発見」したことだ。カザルス以前には、いくつかの曲だけを弾くことはあっても、誰もこの組曲を通して弾こうとしなかったとは、現代ではむしろ想像できにくい。

セゴビアもまた、指の使い方などの工夫で美しい音色を響かせ、作曲家たちに新しいレパートリーを生もうとする霊感を与えた。それは、タレガによって確立された近代的奏法をさらに展開させるものになった。ポンセのソナタ、カステルヌオーヴォ=テデスコの「プラテーロと私」(ヒメーネスの美しい物語詩への付曲)などなど。それにセゴビア自身の編曲によるバッハの諸作品。

中でもロドリーゴ「ある貴紳のための幻想曲」は、最も優れた成果のひとつだろう。G.サンスという17世紀のギタリストがまとめたリュート曲を材料に、新古典的に構成したもので、レスピーギ「リュートのための古風なアリアと舞曲」やストラヴィンスキー「プルチネルラ」などと共通する手法である。古風な曲想が、爽やかな風に舞い上げられて空を翔る。「ある貴紳」とは、サンスとセゴビアの二人に向けられた讃であるという。

チェロもギターも古い伝統を持つ楽器だが、これらの存在価値を大きく発展させた「偉大な父」を持てたことは、何と幸せだろう。そして、「父」たちが持つ音楽に対する熱い心が、ディスクを通してさえ強く伝わってくる。これも大きな共通点だ。

今さら言うまでもないが、1961年のホワイトハウス・コンサートにおけるシューマンと「鳥の歌」は、世紀の大名演。そして、有名かと思うが、「パブロ・カザルス 喜びと悲しみ」は大変面白く、また素敵な本だ(アルバート・E・カーン編 吉田秀和・郷司敬吾訳 朝日新聞社 朝日選書439)。

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