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2007年9月

2007年9月25日 (火)

Milkyway Train 運行中間記録

この数ヶ月、山形の合唱団「じゃがいも」のための合唱劇を作曲しています。公演のお知らせは、また後日書くつもりです。

この曲、スケッチは手書きですが、清書はパソコンの浄書ソフトを使って書いて、山形にいる指揮者の鈴木さんにメールで送っています。彼はこれを受け取ると、ヴォーカルスコアを作り、団員さんたちに配るとともに、PDFファイルにして、私のところにも送ってくれます。

一晩物の大きな作品なので、出来た部分から少しずつ送るのですが、郵便と違って、パソコン上に自動的に送信記録が残ります。作品がいつどんなふうに出来ていったのか、通常は公開されませんし、こまめに日記でもつけていなければ、その経緯はすぐにわからなくなってしまいます。でも、こういう渡し方をしていると、日記をつけなくても、少なくとも受け渡しの記録は残っていくのです。さらに、浄書ソフトなので、何小節書いたかもすぐわかります。

曲はまだ完成していませんが、今までに送った記録を中間報告してみましょう。送信日、タイトル(すべて仮題)、[  ]内は小節数です。

・7月1日 午后の授業[118]

・7月11日 ケンタウル祭の夜[48]

・8月17日 天気輪の柱[109]

・8月24日 銀河ステーション(1)[80]

・8月31日 銀河ステーション(2)[161]

・9月7日 北十字(ハルレヤ)[176]

・9月12日 プリオシン海岸(河原の礫)[67]、プリオシン海岸(大学士)[78]

・9月14日 アルビレオ観測所[73]、ほんとうの幸(1)[42]

・9月21日 ほんとうの幸(2)[168]、蠍の祈り[34]

・9月22日 青い森から流れる音いろ[98]、ジョバンニの嘆き[50]

送信日に金曜日が多いのは、週末の練習に間に合わせるためです。現在までのところ、合計1,200小節を超えました。

まもなく、ジョバンニは、カムパネルラとの別れの時を迎えます。せつないなぁ・・・。

聖玻璃の風

9月30日に、笙の演奏家・髙原聰子さんのリサイタルで、私の作品が演奏されます。篳篥独奏曲で、このリサイタルにゲストとして参加する中村仁美さんの演奏です。

笙 ミニ・コンサート

9月30日(日)14時 求道会館(東京都文京区本郷)

笙:髙原聰子、篳篥:中村仁美(ゲスト)

第一部:古典・・・演奏とお話

・平調調子

・盤渉調調子

・青海波

第二部:現代作品

・西部哲哉:天の夜曲(笙独奏)

・吉川和夫:聖玻璃の風(篳篥独奏)

・髙原宏文:笙のためのアリア(笙独奏) ほか

全自由席 3,000円

「聖玻璃の風」は、2005年にアサヒビール・ロビーコンサートのために作曲したもの。タイトルは、宮澤賢治「春と修羅」の一節によっています。

2007年9月22日 (土)

ラ・コンフィチュール

あいかわらず更新が滞っています。ネタがなくなったのではなくて、ずっと作品にかかりきっているためで、せっかく訪ねてくださっているのに申し訳ないです。かかりきりの作品はまだ完成には至りませんが、近々、中間「運行報告」を書こうかなと思っています。

そんなわけで、この二ヶ月、生活も何もムチャクチャになっていますが、ふと気がついたら、別の新作初演がある演奏会が、もう間近になってきました。

"Confiture コンフィチュール" とは、フランスの果物の砂糖煮、つまりジャムのことだそうですが、「ラ・コンフィチュール」という名前のユニットがデビュー・リサイタルをします。

若い4人の演奏家の専門は、ピアノ、オーボエ、コントラバス、パーカッション。でも、どうやらこれら以外の楽器もこなすらしい。オーボエがイングリッシュホルン持ち替えますなんていうことではなくて。なにやら、他に類を見ないユニークなユニットになりそうです。

プロデュースは、知る人ぞ知る辣腕ディレクター川口義晴さん。川口さんの手による編曲も得て、この編成としてはきわめて珍しい曲目が並びます。私も、新作を書かせていただきました。成瀬一裕さんが照明を担当してくださるというのも、楽しみです。

ラ・コンフィチュール~クレアシオン~ 9月28日19時 杉並公会堂小ホール

Photo

・J.S.バッハ:三声のリチェルカーレ

・サティ:ヴェクサシオン(4+1/840)

・吉川和夫:アンティフォニーⅥ(委嘱・初演)

・サティ:シネマ(映像付き)

・新垣 雄:沖縄のわらべ歌集より(委嘱・初演)

・ラヴェル:ボレロ  [演奏順不同]

井口真由子(ピアノ)、大城由里(オーボエ)、佐野央子(コントラバス)、新城二奈子(パーカッション)

全自由席 2,500円 詳細は、井口さんのブログをご覧ください。→http://www.igumayu.com/recital.html#tokyo

10660e0bs リハーサルのスナップです。撮影は井口さん。

2007年9月13日 (木)

オペラ「クラブ マクベス」

こんにゃく座公演、林光さんの新作オペラ「クラブ マクベス」を観る。東京・三軒茶屋、シアター・トラム。

人生の日常に疲弊したサラリーマン風の「男」が、クラブ「マクベス」と書かれた奇妙な店に引きずりこまれ、妄想の中でマクベス劇を幻視する。シェイクスピアの「マクベス」を、「現実」の視点で見ている「男」が(もちろん、それも虚構だが)いるというわけだが、彼の現実と妄想の境目は、いつしか消失していく・・・。

台本も書いた髙瀬久男さんの演出はとても丁寧で、舞台も美しい。音楽は、物語の悲劇をことさら強調したりはしない。そして、全体的に厚く書き込まれたものではないが、必要十分な緊張感を醸し出す。譜面はシンプルだと思うけれど、練習は簡単ではなかっただろうなぁ。

「男」を演じた大石哲史さんは、いつもながら安定した存在感。劇中のマクベスの佐藤敏之、坊主頭が異様に似合う冨山直人マクダフ、魔女より怖い岡原真弓ヘカティはじめ、すべてのキャストが好演。初演ゆえ、水も洩らさぬというわけにはいかない箇所もあるように思えたが、上演を重ねることで作品は育っていくだろう。

マクベス劇、それに「男」にとっての「現実」、ここまでが虚構、そして観客である私たちは、私たちの身の回りである本当の現実を含めて三重構造を体験しながら、「男」同様、いつしか境目を見失っていることに気づく。観念だけで構築されたものではなく、観ていて面白い作品。重い悲劇性の中にキッチュな見世物的要素が、(魔女が焚き火に降りかける薬ではないが)程よく配合されたことも、楽しさの一因だろう。16日まで。

2007年9月 7日 (金)

台風

台風9号は、小田原付近に上陸、関東を直撃したのち、日本列島に沿って東北へと上がっていきました。東北は大丈夫だったのかな・・・。

これほどストレートに関東を襲うのも珍しいし、上陸した後も「台風」のままで東北へ向かってくるのも珍しいことです。仙台で、「関東に台風が来た、もうすぐこちらへ来るぞ!」と待ち構えていても、大抵は「台風」ではなくなっているし、長旅の疲れからか衰えていて、激しい風雨をもたらすことはあまりないようです。

4日の夜仙台に移動、あ、それは台風ではなくて私の話です。5日、6日は大学の仕事が次々とあって、嵐のような二日間でした。特に6日は、午前中附属中学校へ教育実習の参観に行き、午後は委員会、卒業研究のお付き合い、作曲の授業発表会の打ち合わせ、そして、その合間には二人の学生くんが相談に来たり。夜は某ピアノコンクールの実行委員会の会議。

仙台では、空を見上げると、今日は傘は持って出なければ・・・という空模様でしたが、ほとんど降らず、午後などは晴れ間も覗いていました。ただ、とても蒸し暑かった。

夜の会議が終わってから、最終のこまちで神奈川に戻ることにしていたのですが、台風は一刻一刻近づいていて、関東はかなり影響が出てきているらしい。

こまちはちゃんと東京まで行くかしら。また、東京まで行けたとしても、自宅までの電車がちゃんと動いているかなぁ・・・。最悪なのは、途中で運転見合わせになって、車内に閉じ込められてしまうことです。今夜は仙台に泊まって、明日戻ろうかとも思ったけれども、明日は台風がこっちへ来てしまう。それに、戻らないと明日仕事ができない。

相変わらず蒸し暑いのと、ちょっと変な風が吹いている以外は何事もなし。傘は、結局今日一日、持ち歩いただけ。こまち号は、仙台駅を定刻21時26分に発車しました。

福島を過ぎた頃、雨がぽつぽつ降り始めました。那須塩原あたりからは、雨が窓に激しく打ち付けられるようになりました。嵐のような一日が終わって、本当の嵐の中へ突入です。快調だったこまち号も、さすがに徐行運転。在来線の運転状況を知らせる車内放送が流れるたびに、不通路線が増えていきます。

ところが、大宮に着く頃には、雨がひどく降った跡は見てとれるけれど、まったく静かになっていました。ありゃ?もしかして、もう台風の眼に入っちゃったんだろうか。結局10分程度の遅れで東京駅に着いたときも、時折突風が吹き抜けるほかは、拍子抜けするくらい静かでした。一時不通になっていた中央線は運転再開しているというので、中央線快速ホームへ。

まもなく発車しますので、ご乗車になってお待ちくださいと言うのだけれど、なかなか発車しない。後続の列車が遅れているから、運転間隔が離れ過ぎるのを回避するため時間調整中・・・ただいま後続の電車は国分寺付近を走っております。まもなく発車しますので・・・って、おいおい、国分寺から来る後続を待つのじゃ、「まもなく」じゃないだろう。「まもなく」の目安がどのくらいの時間なのか、説明してほしいよね、もう深夜なんだから。

別のルートを取ろうかと、腰を浮かしかけたとき、慌てたように発車のベルが鳴った。快速の予定でしたが、各駅停車として運転します・・・。

新宿でも、ホームに雨が降りこむこともなく静かで、不気味にガラガラの私鉄準急に乗る。いつもこの時間は、酔客で満員なんだけどね。まともな人たちは、もうとっくに家に帰ってしまったのでしょう。

世田谷を過ぎるあたりで突風。同じ車両に乗っている人たち、それぞれ本を読んでいたり、携帯をいじっていたりするのが一斉に顔をあげる。多摩川を渡る頃には、だんだんひどくなって、最寄り駅に着いたら、傘も飛ばされそうな暴風雨。しかし、どうにか午前1時前には、自宅に辿り着きました。その後、風雨はさらに強まり、午前2時くらいに上陸した模様です。

今日のニュースによれば、酒匂川の橋が折れたり、西湘バイパスが崩落したりして、かなり被害があったようです。多摩川を濁流が走る映像を見て、30年前の台風を思い出しました。

1974年9月1日、後に山田太一が「岸辺のアルバム」というドラマに描くことになる多摩川堤防決壊をもたらした台風の日、私は、その狛江大水害の地のすぐ上流に住んでいました。大学1年でした。川からは少し離れていたので被害はなかったのですが、ひっきりなしにサイレンが鳴って、異様な雰囲気だったことはよく覚えています。その日、川岸の、新築を含む19棟の住宅が、濁流に飲み込まれたのです。

あの頃と何が変わったのでしょうか。河川は整備されたし、情報伝達手段も格段に増えたから、被害を最小限に食い止められるようにはなった。でも、それとともに、少し畏れを失っているようにも思います。橋が折れたり、濁流に家が流されたりする映像は、人間の油断と手抜かりを語っているように思えてなりません。

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