銀座でピノッキオ
こんにゃく座公演のオペラ「ピノッキオ」。昨年東南アジアで公演をしてきた萩京子さんの作品で、このたび日本初演の運びとなった。その最終日を観るために、時事通信ホールのある東銀座に出かける。
マチネなので、久しぶりにナイル・レストランに寄って腹ごしらえ。このインド料理店は、1949年からあるそうだ。
席に着くと「ムルギーランチ?」と訊かれるので、「うん」または「はい」と答える。それで注文終わり。定番ですからね。他のものを注文したことはないし、注文している人もほとんどいない。「ムルギーランチ?」と尋ねられたときに、「いや、そうじゃなくて・・・」とは、よほど構えていないと言いにくい。「えー、どうしようかな・・・」などとためらっていると、「ムルギーランチ、ウチの定番!」と追い討ちをかけられる。
ムルギーランチは、鶏のもも肉1本とマッシュポテト、黄色いライスにカレーがかかったワンプレート。鶏の骨をはずしてくれるので、全部混ぜて食べる。美味。
インド人である二代目ナイルさんがお客に、「ワカダンナ、お大事にね。」などと話しているので、常連さんのどこぞの若旦那が来ているのかなと思いながら食べていたら、近くの席の人にも、「ワカダンナ、後ろからごめんなさい。」と言って水を注いでいる。どうやら、若い人は「ワカダンナ」と呼ぶことにしているらしい。ちなみに、この二代目、河東節で歌舞伎座に出演したりすることもあるそうだ。お店のホームページに、写真が載っている。さすが東銀座!渋谷のインド料理店主は「ワカダンナ」とは言わないだろうし、河東節のお稽古もしないだろう。
今日はお祭りで、神輿がちょうど歌舞伎座の前を練り歩いているところだった。この一角だけは混雑しているが、目の前の晴海通りは自動車が行き交っているし、沿道にたくさんの見物がいるわけでもなく、何となく寂しいような気の毒のような感じでもある。
さて、ずいぶん寄り道をしてしまったが、「ピノッキオ」のこと。
「ピノッキオ」(原作カルロ・コッローディ)は新聞連載として書かれた長い作品だそうだが、ここではたくさんの登場人物を出演者4人が演じ分ける。楽器はピアノ1台とキャストが奏する打楽器やアコーディオンなど。ピアニストは、ピアノを弾きながら片手で鍵盤ハーモニカを吹くところもあるという人員節約ぶり。
山元清多さんの台本では、「いい子にしていれば人間の子どもになれる」という結末の「教訓」が、「木の人形のままでも元気に生きていくんだ」というように変えられている。そして、波乱万丈の冒険によって鍛えられたピノッキオは、「強く逞しく、優しく」生きていくと歌う。ひとつ間違うと鼻持ちならなくなりそうなフィナーレだが、てらいもなく、堂々と、ごくあたりまえのこととして歌われ、潔い。幕切れは、すべての登場人物が人形に戻っていく気配。夢のように美しく、そこはかとなく儚さが漂い、「教訓」を昇華させる。素敵な余韻の残る幕切れだ。
萩さんの曲は、リズム・オスティナートの上に展開されるメロディーという造りのオン・パレードだが、肩の凝らない題材に自然体で向かって、躍動感溢れる作品となった。4人+ピアニストは大奮闘。伊藤多恵さんの演出も、アイデアに満ちていて楽しい。「あおくんときいろちゃん」、「ロはロボットのロ」などに次いで、この座の旅公演向きレパートリーに、またひとつ佳品が加わった。
休憩なしで1時間20分。休憩なしの公演としては、ちょうど良い長さ。










きっきぃさま、先日はご来場ありがとうございました!時事通信ホール、なかなか良いホールです。設備は一流です。そして演劇的使用をなかなかされないので、どれもこれも新しいものばかりでした(ピアノなんてほとんど使用されていなく二日連チャンで調律をお願いしました、ピアニストさんにはご苦労をおかけしてしまいましたっ)。座日記にもシマダが書いていますが、はこべ~というピアノ運び機は一見の価値あり!でした。
ピノッキオは12月から全国へ旅に出ます!またどこかで見てくださいね。
投稿 nanako | 2008年5月 7日 (水) 20時16分
>nanakoさん
こちらこそ、ありがとうございました。楽しく拝見しました。時事通信ホール、良かったですね。あんなホールがあること、全然知りませんでした。ピノッキオの舞台のために建てられた?って思うくらい(笑)、ピッタリの空間でした。またどこかで拝見したいです。こんにゃく座、最近なかなか仙台に来てくれないね・・・というボヤキを聞きます。機会があるといいですね!
投稿 きっきぃ | 2008年5月 7日 (水) 23時28分