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2008年10月

2008年10月19日 (日)

限りなく新作に近い作品

2本のクラリネットのための曲を、改訂初演。仙台市青年文化センター・コンサートホール。

2005年に発表したのだけれど気に入らず、半分くらいを入れ替える。だから、限りなく新作に近い作品となった。

2005年の時、演奏は高校音楽科の生徒さんたちだった。今回は、卒業生のこずゅさんとなおさんにお願いする。

亡くなられた本間先生は、そんなふうに、若い人にご自分の作品を託して、演奏の機会を与えてこられた。そのことが、今回私の頭の隅にあった。

10分ほどの作品。とりあえずこの曲のために自分がやるべきことはできたかなと思う。もう少しだけ、つまむかも知れないけれど。

音楽作品は、そこに在るというだけでは成長しない。これから何年かかっても良いので、作品として育ててくださるクラリネット奏者さん募集中。

p.s.

すっかり更新が滞ってしまっています。せっかく覗きに来てくださっているのに、申し訳ありません。管理人、別に体調を崩しているわけでも、書くことがなくなったわけでもないのですが、大学の仕事がいろいろあること、某編曲の仕事をしているのですが、目下かなりの時間をそちらに取られていることから、こんなことになっています。書いておきたいことはいろいろあるので、また少しずつ更新していきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。(11月3日記)

2008年10月17日 (金)

仙台フィル10月定期

仙台フィル第232回定期演奏会を聴く。指揮はマルティン・トゥルノフスキー。

プログラムは、19世紀から20世紀の初めまでに書かれた交響曲を3曲。シューベルト:交響曲ロ短調「未完成」、マーラー:交響曲第5番第4楽章「アダージェット」、そしてブラームス:交響曲第4番。

この3曲で、終演時間が20時40分という驚異的な早さ。つまり、どの曲もテンポが速かったわけだ。

「未完成」の第1楽章には、「アレグロ・モデラート」と記されている。あの楽章は「アレグロ」という印象ではないのだけれど。

それを、文字通り「アレグロ」のテンポでやる。「アンダンテ・コン・モート」の第2楽章も、「アンダンテ」の中の最も速い目盛りでやる。そんなふうにすると、20時40分終演が可能というわけだ。

詳しいレヴューは、新聞に書くので省略。でも、新聞には書けなかったことをメモしておこう。

そんなわけで、快速「未完成」だったわけだが、そうして聴くと、構造的な仕組みがよくわかるような気がする。単に抒情的に流れる音楽ではなく、ソナタ形式に沿った構築的な楽章だということである。

第2楽章が終わったとき、「あぁ・・・続きが聴きたいなぁ・・・」と思った。「未完成」は欠陥ではない、優れた「完成した」芸術作品であるということは承知しながらも、やはりこれは、後半が永遠に欠如した4楽章の交響曲なのだという思いがした。この曲を聴いてそんなふうに感じたのは初めてだ。演奏がもたらした感覚なのだろう。そう思えたことが面白かった。

トゥルノフスキー氏は1928年生まれ。かくしゃくとしておられて、失礼ながら80歳とは思われない。耽美的になることなく、テンポも含め禁欲的と言いたくなるようなその解釈は、ジョージ・セルの薫陶を受けたという経歴にも関係があるかも知れない。

2008年10月13日 (月)

ジャケ買い

LPレコードの時代には、時々「ジャケ買い」をした。

「ジャケ買い」とは、レコードを、中身よりもジャケットが気に入って買ってしまうことである。もはや若い方々はご存知ないかも知れないが、LPレコードというものは直径30cmの円盤で、それを包む紙ジャケットはおよそ31cm×31,5cmという大きさだから、デザイナーが腕をふるった美しいジャケット、面白いジャケットがたくさんあった。だから、かっこいいデザインなどがあると、つい買ってしまったりしたのである。

「ジャケットかっこいいから買っちゃったよ」なんていうことは、友人の誰もが一度くらいは言っていたような気がする。そして、「ジャケットかっこいいから買っちゃった」レコードは、中身をあまりわからずに買っているのだけれど、多くの場合実は名盤だったりするのである。

LPレコードで発売されていたものがCD化される場合、LPジャケットのデザインがそのままCDに使われている場合も多い。最近では、オリジナル・ジャケット・コレクションなどとわざわざ銘うって発売されることもある。しかし、いかんせんCDのケースは小さいから、LPのジャケットのような迫力はない。

少し前のことになるが、本当に久しぶりに、たぶんCDになってから初めての「ジャケ買い」をしてしまった。

そのデザインがこれ。

Photo どうです、楽屋でお支度中の踊り子さんたち(?)、なかなかの迫力でしょう。

あ、中身ですか?

内容は、プーランク、オネゲル、ミヨーらのいわゆる「フランス6人組」の全員の室内楽曲が収録されている、ごくごく真面目なもの。たぶん、その時代の雰囲気を出そうとしているのでしょうが、実は中身とはほとんど関連がない。でも、このジャケットじゃなかったら、買わなかっただろうなぁ・・・。

プーランクの作品は、アヌイの芝居「城への招待」のために書かれた、ヴァイオリン、クラリネット、ピアノによる劇音楽が収められていて、なかなか楽しい。シャンソンやタンゴといったスタイルを借りた洒脱な小品集。この曲が、唯一写真の風景と近いのかも知れないなと思う。

それにしても、このお尻(たち)の迫力には、CDケースの大きさでも十分圧倒されますね。

2008年10月12日 (日)

本を包む

東京・神田神保町は、好きな街だ。

Photoたくさんの書店、古書店が軒を並べるこの街には、大学時代からよく来ている。1日がかりで、というわけにはいかないけれど、何時間かでも時間を見つけて書店を巡り、いくつかの古くからある喫茶店の、今日はどこで休もうかななどと迷うのも楽しい。

構えが変わった店もあるが、街全体の雰囲気はそれほど大きくは変わっていないし、依然として「昭和」のたたずまいを残しているところも多いから、学生に戻ったような気分にもなる。

本を買うと、今でもこんなふうに包装してくれる古書店が多いのも、この街ならではのことだ。

Photo_3ゆっくり丁寧に包み紙で包んで、輪ゴムで留める。薄めの本でも同じ。プレゼント用の包装を頼んだからではなく、いつもこうなのだ。

この包装、ちょっと煩わしいなと思ったこともあったけれど、買った品物が無造作にレジ袋に放り込まれ、家の中にやたらとレジ袋が増えていく昨今では、こういう包み方が、街のポリシーを象徴しているようにさえ思える。

包み紙は、もちろん後で本のカバーとして使える。テープで貼るのではなく、輪ゴムだから一部分が破れたりすることもない。

そもそも、こういうふうに包んでくれるのは、苔の生えていそうな椅子に座っているガンコそうな店主であり、パートやバイトのご婦人方ではない。

その、ちょっとヘンクツでガンコそうな店主は、包んだ本を両手で渡しながら、ゆっくり、「ありがとうございました。」と言う。口調以外は無愛想と言ってもいいくらいだ。両手をお腹の前で組んで礼をしたりしないし、「またお越しくださいませ。」などということは言わない。しかし、その言葉はきちんとこちらに届く。今日はこの本が買えて良かったな・・・と思える。

新本の量販店や、雑多な品物を売るスーパーマーケットなどのように、客がレジに列を作ったりしないから、ひとりひとりの客にこんな対応ができるのだけれど、何よりも店主が本を大切にしているからこその心意気だろう。オートマティックに会計を処理され、儀礼的に礼を述べられることに慣れている身にとって、この街のオヤジの対応は、古くさくも新鮮である。

ただし、ここでは、紙で包んだ本をさらにレジ袋に入れるような過剰包装はしない。だから、神保町に行く時は、手さげバックなどを持って行った方が良いな。

2008年10月10日 (金)

芋煮

今年も、同僚のO和先生主催、恒例の芋煮会に伺って、お相伴にあずかった。

1 朝9時に集まって、大学院生さんやO和先生研究室の学生さんたちが、河原で火を起こして作ってくれたのは、仙台風と山形風の二つの大鍋。

説明しよう(「水曜どうでしょう」藤村D風)。仙台風とは味噌味で豚肉、山形風は醤油味で牛肉、どちらもたっぷりの里芋とともに煮込む。

何年か前までは仙台風だけを作っていたのが、山形出身の学生くんが「こんなの芋煮じゃない!」と言い張ってから、山形風も作るようになった。どちらも、とにかく里芋がとろとろに煮えていて、とても美味しい。

いつも昼休みに駆けつけ、午後はまた授業があるから大学に戻らなければならず、慌しく食い逃げするような次第で、誠に申し訳ない。

2 東北の秋の、楽しい行事。この時期、晴れた日には、広瀬川の河原のいくつかの芋煮スポットから、いく筋もの湯気が立ち上るのを見ることができる。スーパーマーケットにはアルマイトの大鍋や芋煮材料が並ぶし、スポットに近いコンビニの店先では薪を売っている。皮をむいた里芋をはじめ、材料、調味料までパックにした「芋煮セット」も売られているそうだ。

ついでに言えば、この日は以前「体育の日」だった。1964年の東京オリンピック開会式を記念した日。一年のうち、よく晴れる日ともされている。実際、今年も秋晴れのすばらしい天気だった。祝日を月曜日に設定する制度ができてから、絶好の運動会日和だった「体育の日」も、晴れとは限らなくなったようだ。学校関係で言えば、月曜日の授業ばかりが潰れるので、大迷惑な制度なのである。

私事で言えば、誕生日の翌日が祭日だったのが、そうでなくなって、ちょっとつまらない。もっとも、馬齢を重ね・・・と謙遜してみても、馬にさえ失礼なのではないかと思えるこの年齢、誕生日だからどうということもないのだが。

3

2008年10月 6日 (月)

新作初演のお知らせ

久しぶりに、仙台で新作を初演します。

第45回 宮城県芸術祭音楽会「20世紀の風Ⅱ」

10月19日(日)14時開演 仙台市青年文化センター・コンサートホール

吉川和夫:アンティフォニーⅣ ~2本のクラリネットのための~(クラリネット=熊谷梢、鈴木奈緒)

正確には、2005年に作曲した作品の改訂初演ですが、かなり大きく書き直したので、ほとんど新しい曲を出す気分になっています。初演を覚えている方は、ほとんどいらっしゃらないでしょうし。

初演の演奏をしてくれたのは、仙台の二人の音楽高校生さんたちでした。そういう人たちに演奏してもらうことを前提で作曲したのです。だからといって易しく書いたということはありませんが、若い奏者でも無理なく演奏できるようにとは考えたつもりです。今回も演奏してくれるのは、私たちの大学の卒業生さんたちです。

入場料は1,000円。チケットは私もたくさん預かっていますので、どうぞお申し付けください。

2008年10月 4日 (土)

林光 バースデーコンサート2008

作曲家の林光さんが、間もなく喜寿を迎えられ、また小学館から『林光の音楽』という書籍+CDが発刊された、お祝いのコンサート。発起人に名を連ねさせていただいていたので、今日は大学院入試だったのだけれど、免除をお願いして出席する。東京文化会館小ホール。

チケットは、夏になる前くらいに完売していたそうなので、もちろん満席。来たくても来れなかった人がずいぶんいたんじゃないのかな。

前半は室内楽作品、後半はソングなどなど、光先生ご自身がピアノを弾いたり、歌を歌ったりするコーナーもあって盛りだくさん。

その中でも、アコーディオンと4奏者のための室内協奏曲「それがわかったら」と、こんにゃく座オペラ「変身」のソング集が、とくに印象的だった。

室内協奏曲は、萩京子さん、寺嶋陸也さんと私が3人で組んでいる作曲家グループ「緋国民楽派」の演奏会で初演した作品。あぁ、すてきな曲を書いて頂いたのだなぁ・・・と、あらためて思う。

カフカを原作とする「変身」は、林作品の中でも特に作曲者の力の入ったオペラだ。それぞれの景の音楽が、「シャンソン」、「ブルース」、「ロマンス」、「子守歌」といったように、明確なスタイルを持っていて、そういう曲が積みあがってオペラを成すかたちは、少しだけベルク「ヴォツェック」を連想させる。

プログラム後半にはおなじみの曲も多いが、さまざまなスタイルを書き分ける職人技は見事だ。そして、どんなスタイルの曲でも、単に擬態を装うだけではなく、どこかに必ず「作曲・林光」という刻印が見える。どんなスタイルの場合でも、アイデンティティと無縁になったりすることがないからだろう。

小学館から発刊された『林光の音楽』は、400ページを超える書籍と20枚ものCDがセットになっている。以前に出た『武満徹全集』に継ぐもの。

詳細はこちら→ http://sgkn.jp/cdhayashi/

こんにゃく座にお願いして、割引きで購入した。題名は知っていても実際に聴いたことのない作品も多く収録されていて、楽しみだ。けれど、いつになったら落ち着いて聴けるかなぁ・・・。それに、こんな物凄い全集でなくてもいいから、いろいろな日本人作曲家の埋もれている作品を、もっと身近に聴けるようになると良いと思う。

(『林光の音楽』を、左サイドバーで、アマゾンへリンクしておきます。)

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