御神火
夕方、街で買い物をしていたら、鈴とも鉦ともつかない鋭い音が近づいてきた。裸参りの行列だ。
毎年1月14日、宮城県の各所で、「どんと祭」と呼ばれる行事が行われる。正月飾りや古神札などを焼納する正月送りの行事である。伊達政宗建立の国宝、大崎八幡宮の「どんと祭」は、「松焚祭」というのが正式な名称だそうだ。
裸参りの人々は、市内のそれぞれの場所に集合して、白い鉢巻とさらしを巻いた姿になり、何時間もかけて八幡宮に向かって歩く。企業や組織、学校の研究室などの単位で、数人から数十人のグループを作り、その名を書いた提灯を持つ。行列が、鐘の鋭い音のほかは厳粛に静まっている気配なのは、私語を慎むための紙を口にくわえているためだ。
今年は、2700人以上の裸参りの人々が参詣したという。
門の中に到着した行列は、階段を昇り、本殿に到着。御祓いを受け、お神酒を振舞われる。
私のような、とてもとても裸参りはできない一般人も、本殿に参拝する。早めの時間だったので、それほど混雑してはいないかったが、参拝の人々は翌日早朝まで続いたようだ。
お焚き上げの御神火。正月飾りや古い神札などが焚き上げられる。
裸参りの人々は、火のまわりを回って暖を取る。暖を取るというより、火のすぐ傍は、当然のことながら熱い。
裸参りの人々の列が途切れるのを見計らって、一般参詣者たちが火に近づき、持ち寄った松飾りや注連縄、門松、古い御札や絵馬などを火に投げ込む。
年末から正月にかけて、実家の部屋の整理をしていたら、祖母の遺品がたくさん出てきた。祖母は仙台の生まれだ。私が仙台に仕事を得るはるか前に他界した。
遺品のうちの、祖母が書いた写経やお守りなどを御神火にゆだねる。煙は、故郷の空高く消えていった。祖母はきっと喜んでくれたことだろう。
老舗の味噌醤油店の店先で、味噌おでん(熱々のコンニャクに仙台味噌をつけたもの)をいただく。冷えた身体が温まる。味噌醤油店のおばあちゃん、普段は物静かだが、この時ばかりは張り切ってお客の応対をしているのがほほえましい。
大崎八幡宮の松焚祭→ http://www.okos.co.jp/oosaki/festival/matsutaki/index.html














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