マイルス本の耐えられない(?)厚さ
現代芸術論Aという授業、今年は半期をかけて「マイルス・ディヴィス」だけを聴いてもらうというプランを立てた。以前から一度やってみたかったのだ。
おぉ、何という偏った内容!大学の授業たるもの、独断偏見を排除してもっと多角的総花的になるよう内容を精査すべきである・・・な~んて言われそうだな。
バカ言うんじゃない、な~にが、ふぁかるてぃ・でぃべろなんとかだ。少なくともジャズというフィールドを見渡そうとしたら、結局マイルスにたどり着くのだし、ジャズのみならず、フュージョンやロック、レゲエやラップ、ヒップホップサウンドに至るまで、非クラシック音楽の多様な面に接近できる可能性を、マイルスは持っているのだ。もっとも、結果的にはマイルス以外のミュージシャンに焦点を当てる時間も多いと思うけれど。
そんなわけで調べてみたら、家にはマイルスのCD、レコードが50枚くらいあることがわかった。とりわけマイルス狂いというつもりもなかったのに、いつの間にかそんなことになっていたのか・・・。でも、マイルスのディスクはブート盤などを含めると300とか400とかいう数字になるそうだから、大したことはない。
そして、授業の準備には多少本を読んだりもしなければならぬ。いや、ならぬことはないが、やはり興味深いミュージシャンなのだから、読んでみたいと思う本が多いのだ。
ところが、ここに立ちふさがる問題。マイルス本は、どうしてこんなに厚いのだろう。
新書の2冊、『マイルス・ディヴィス ジャズを超えて』(中山康樹著、講談社現代新書)の228ページ、『マイルス・デイヴィス完全入門』(中山康樹著、ベスト新書)219ページや地球音楽ライブラリー『マイルス・デイヴィス』(TOKYO FM出版)221ページは、ごく手頃なページ数だ。
マイルス語録である『マイルスに訊け』(中山康樹著、イーストプレス)167ページ、『マイルスからはじめるJAZZ入門』(後藤雅洋著、彩流社)190ページ、『定本マイルス・デイヴィス』(ジャズ批評ブックス)267ページ、恐れることはない。
『マイルス・デヴィスの芸術』(平岡正明著、毎日新聞社)397ページは、できればじっくり読んでおきたいし、『マイルス』(ビル・コール著、諸岡敏行訳、晶文社)は本文197ページに逆側から開く資料109ページがついて、しかしこの2冊とも見た目にはごく普通のハードカバーの体裁。
『マイルス・デイビス自叙伝』(マイルス・デイビス、クインシー・トロープ著、中山康樹訳、宝島社文庫)は、とても面白いし真っ先に読むべき本だが、Ⅰ、Ⅱの2冊に分かれていて、それぞれが350ページ以上ある。
ちょっとびっくりするのは、最近出た『M/D マイルス・デューイ・デイヴィスⅢ世研究』(菊地成孔、大谷能生著、エスクァイア・マガジン・ジャパン)770ページ。小ぶりの版なので、本屋に並んでいると厚みが際立つ。厚いわりにはそれほど重くない(内容がではなく、目方が)のがせめてもの救い。
そして、極め付きは『マイルスを聴け』(中山康樹著)である。1992年に径書房から出た『マイルスを聴け!!』は340ページのハードカバーで瀟洒な装丁。初版を手に入れてからずっと愛読・・・というか参考にさせてもらっていた。
その後ヴァージョンアップを重ね、現行版は『マイルスを聴け!version7 』。なぜか「!」がひとつになり、双葉社文庫で975ページ!文庫で1,000ページに迫ろうかという厚さは京極夏彦と双璧。天晴れというかなんというか。
ここに挙げた以外にも、マイルス本はたくさん出版されている。その内容は入門書から伝記、研究書まで様々だ。ともすると、マイルス本が肥大する傾向があるのは、やはりマイルスの音楽にそれだけ論じるべき内容が多いということだろう。それは理解できる。しかし、新幹線移動の多い私などにとって、厚い本を何冊も持ち歩くのは、なかなか辛いものがあるのである。












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